【麻酔科】A先輩とのまったり対談~麻酔科の魅力に迫る!あと、医局についても~

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先日、現在6年生の先輩で、いつも大変お世話になっているA先輩に色々とお話を伺うことができました。A先輩は普段から医学をはじめとした様々な論文に目を通しているそうで、その知識の”量”と”幅”が凄いです。そんなA先輩は将来、麻酔科医を志望しているということで、今回は、「麻酔科の魅力について」を中心に語ってもらいました。

医局に入る?入らない?

2004年に新医師臨床研修制度が始まってから、卒後、新人医師は特定の医局に属さず市中病院をはじめとした病院で、いろいろな科をローテートすることとなった。従来は伝統的に卒業した医大の附属病院に就職する新人医師が大半を占めていたのだが、この新医師臨床研修制度の結果、卒後、都市部を中心とする市中の病院へ就職する新人医師が増えてきた。これは、医師にとっての一種のモラトリアムだと思う。つまり、どの科に進むのか?そして或いは、医局に入るのかどうか?入るとして、どの医局に入るのか?といった選択を見極めるための期間が増えたと考えることができる。

そこで、まず医局についてA先輩にお話を聞いてみた。

 

近澤 先輩、まずは国試お疲れさまでした。

A先輩 ありがとうございます。(笑)

近澤 実は最近、将来のことで悩んでまして。具体的には、医師としての人生設計ということに関して悩んでいて、とくに、卒後、医局に入るかどうか?って凄く重要な問題だと思うんです。

A先輩 たしかにそうだね。

近澤 いろんな先輩のお話を聞いてると、医局に入るかどうか?って、ホントに人それぞれで、いろんな意見があるんだなという感じでした。医局に入るメリットもあればデメリットもあるわけで。だからこそ、自分が将来、医師としてどうありたいか?ということが、医局に入るかどうかを決めるうえで重要なことだと思うんです。

A先輩 うん。でもたとえ、どの科に進むことになっても、その分野の勉強や技術の習得をするための”学びの場”は必要だと思う。その学びの場こそが医局だと思う。とくに、外科なんかは師匠の技を盗んで技術を磨く…。みたいなところあるよね。だから、外科でいきなりフリーランスで働くとかは難しいと思う。

近澤 なるほど。

A先輩 あとは、医局って言っても、科によって全然雰囲気が違うから。そこは、ポリクリ(実習)のときにちゃんと見ておくべきだと思う。

麻酔科の魅力

まず、麻酔の最低限の基礎知識について押さえておこう。麻酔には3要素があって、①「健忘(意識消失)」、②「鎮痛/鎮静」、③「不動(筋弛緩)」の3つである。とくに、意識を消失させるために用いられる静脈麻酔薬の一つであるプロポフォールは、あのマイケルジャクソンの血液から検出されたことで有名。また、麻酔の歴史だが、1846年に世界で初めてエーテル麻酔を成功させたアメリカの歯科医モートンは近代麻酔の起源として有名(成分の明らかな薬剤を用いて、公開された場で行われたという点で)であるが、実は、それよりも約40年前に世界で初めて全身麻酔を成功させた医師が日本にいたという。それが、華岡青洲である。青洲の母と妻が自ら実験台となることを申し出て、母は死亡、妻は失明という結果のもとで完成された”通仙散”という麻酔薬を用いて乳がんの手術を成功させたという。

 

近澤 先輩は、麻酔科を志望しているそうですが、そもそも麻酔科になろうと思ったきっかけは何なのでしょうか?また、麻酔科の魅力って何なんでしょう?

A先輩 それこそ、おれはポリクリで一通りいろんな科を回ってみて、麻酔科の雰囲気が一番しっくり来たから最終的に麻酔科に決めた。麻酔科の魅力ね。いろいろあるとは思うけど、まず他の科と決定的に違うのは、何か特定の疾患や病気を治すっていうのがメインではないということ。簡単に言えば、手術中の患者さんの精神的ストレスや肉体的ストレス(痛みとか)を軽減することで、手術を無事に行えるようにするのが麻酔科の仕事。で、麻酔科の魅力だけど、一つは麻酔が作用する機序がまだ完全には解明されていないということ。もう一つは、麻酔というものを突き詰めて考えていくと、「意識とは?」という問いに行き着く。例えば、麻酔科医は手術中、患者さんの様々な生体データをモニタし、それらを常に監視・管理している。その中の一つにBIS値というものがある。これは患者さんの麻酔深度を測るもので、鎮静・無記憶・無意識などの指標とされている。要するにこれは、意識のレベルをモデル化して、それを数値化しているもの。いろんな科学者たちが意識を数理モデルに落とし込もうとしているみたい。おれは研究の方へ進みたいから、こういったテーマや課題があるのは麻酔科の大きな魅力だと思ってる。

近澤 なるほど。とくに「意識とは?」という問いはとても面白いです!それはある意味、哲学的な問いでもあって、そういったものを数理モデルとして表現するというのがとてもアツいです!

 

麻酔科はとても奥が深いことが分かりました。とくに、個人的には意識に関する話がとても興味深かったです。

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