
ところで、タンポポって健康に良いらしい。【タンポポが秘める10の健康効果】
⒈ 抗酸化物質を摂取できる
老化の原因。そして、最近では、がんや生活習慣病をはじめとした 様々な病気の原因とも考えられている「酸化」。でも、そもそも、「酸化」って何なんでしょうか。
切ったリンゴは時間が経つと茶色くなります。それが「酸化」です。空気中の酸素と反応することで、”酸化反応”が起こり、変色してしまうのです。”錆びた鉄”なんかも「酸化」が原因です。
私たちの体の中でも、リンゴや鉄と同様に「酸化」が起こります。私たちは、呼吸し、酸素を取り入れます。取り入れた酸素を使って、食物からの栄養分をエネルギーに変換するためです。
私たちは 一日、およそ 500L の酸素を消費していると言われています。ところで、体に取り入れた酸素が すべてエネルギーを作り出すのに使われればよいのですが、このうち数%の酸素は使われずに残ってしまいます。残ってしまった酸素は生体内で「フリーラジカル」と呼ばれる物質に変化します。スーパーオキシドやヒドロキシラジカル、一酸化窒素……といったものがそうです。
これらの物質は、体内の細胞や DNA を酸化させ、正常な構造・機能を傷害します。
しかし、私たちの体には、これに対して「抗酸化防御システム」が備わっています。それを担っているのが、「抗酸化物質」です。抗酸化物質は、非常に酸化されやすい物質であることから、フリーラジカルによって私たちの正常な細胞や DNA が酸化されるよりも 優先的に酸化されます。このようにして、私たちの体を酸化から守ります。
代表的な「抗酸化物質」は以下の通り。
・ビタミンA
・ビタミンC
・ビタミンE
・ポリフェノール
・カロテノイド(α-カロテン、β-カロテン…)
タンポポには、とくに β-カロテンやポリフェノールといった「抗酸化物質」が豊富に含まれているようです。ちなみに、ポリフェノールが含まれるもの といえば コーヒーですが、なんと ”タンポポコーヒー” なるものが存在するそうです。(知らなかった!)
⒉ コレステロールを減らせる
2010年に発表されたウサギを使った研究結果(Hypolipidemic and Antioxidant Effects of Dandelion (Taraxacum officinale) Root and Leaf on Cholesterol-Fed Rabbits)によると、どうやら、たんぽぽの根や葉には 血中のコレステロールを減らす効果があるらしいです。
また、マウスを用いた別な研究(Taraxacum official (dandelion) leaf extract alleviates high-fat diet-induced nonalcoholic fatty liver.)によると、タンポポの摂取によって、総コレステロール数の減少。そして、肝臓における脂肪を減らす効果があることが分かったという。ところで、肝臓では 脂肪酸から脂肪がつくられており、つくられた脂肪は肝細胞と呼ばれる細胞の中にためられ、エネルギーとして消費されています。しかし、使うエネルギーよりも作られた脂肪の方が多いと、この肝細胞に脂肪がどんどん溜まっていきます。全体の肝細胞のうち 30% が脂肪化してしまった状態のことを「脂肪肝」と言います。放っておくと肝臓の機能悪化、肝硬変や肝細胞癌などの深刻な病気に進展してしまいます。研究者たちは、タンポポが将来的に、こういった病気の治療に使えるのではないか、と考えているようです。
⒊ 血糖値を制御できる
2型糖尿病の医療費が非常に高額である現状の中、現在 治療に用いられる薬品に代わる、もっと低価な薬を探そう という文脈の中で、2016年に発表された研究内容(The Physiological Effects of Dandelion (Taraxacum Officinale) in Type 2 Diabetes)によると、タンポポがもつ「高血糖性」「抗酸化性」「抗炎症性」が2型糖尿病の治療に使えるかもしれないことが分かったそう。しかし、もちろん 今後さらなる研究は必要です。
⒋ 炎症を抑える
2014年に行われた研究(TOP 1 and 2, polysaccharides from Taraxacum officinale, inhibit NFκB-mediated inflammation and accelerate Nrf2-induced antioxidative potential through the modulation of PI3K-Akt signaling pathway in RAW 264.7 cells.)によると、タンポポに含まれる化学成分が炎症反応を抑えるように働くことが分かったみたいです。しかし、この研究はあくまでも細胞レベルでの話であるため、実際に患者さんに用いるためには、引き続き 研究・調査が必要です。
⒌ 血圧を下げる
血圧を下げるためにタンポポを使う類の研究は、今のところとても少ないですが、実は、タンポポは「ポタシウム(Potassium)」と呼ばれる物質が豊富です。それで、この「ポタシウム」と呼ばれる物質には、血圧を下げる効果があることは すでに認められています。
「いや、ポタシウムっなんだよ!」って思いましたか?
実は、ポタシウムとは誰もが知っている身近な成分。カリウムです。医学や薬学の分野では、しばしば「ポタシウム」と呼ぶことがあるそう。
ところで、カリウムは生体のシステムにとって必要不可欠な成分です。摂取されたカリウムは、小腸で吸収された後全身の組織に運ばれ、大部分が腎臓によって排泄されます。体内において、カリウムは、ナトリウムとともに、細胞の浸透圧を維持しているほか、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な役割を担っています。そして、カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して、尿中への排泄を促進するため、血圧を下げる効果があります。
⒍ 体重を落とす
中には、タンポポは減量に効果がある、と考える研究者もいるようです。「クロロゲン酸」と呼ばれる成分がどうやら、―とくに 肥満体において― 脂質代謝の調節や減量の効果があるみたいです。(Chlorogenic acid exhibits anti-obesity property and improves lipid metabolism in high-fat diet-induced-obese mice.)「クロロゲン酸」はコーヒー豆から初めて分離され、現在では タンポポをはじめとする双子葉植物に多く見られるようです。
⒎ がんの進行を遅らせる
タンポポは、特定のタイプの がんの成長を遅らせることができるようです。あくまでも、試験管の中における実験・研究ですが、これまでの研究によれば、大腸がん、すい臓がん、肝臓がん に対して がんの進行を遅らせる効果があることが分かっているそう。2017年に発表された研究結果(Effect of Methanolic Extract of Dandelion Roots on Cancer Cell Lines and AMP-Activated Protein Kinase Pathway)では、タンポポの根から抽出したエキスが、肝臓がんに対して効果があることを示唆しています。
⒏ 免疫システムを促進
いま、注目されはじめているのが、タンポポが生体における免疫システムを強化する可能性です。研究者たちによれば、タンポポは 抗菌性、抗ウイルス性を有するみたいです。例えば、2014年の研究(Taraxacum mongolicum extract exhibits a protective effect on hepatocytes and an antiviral effect against hepatitis B virus in animal and human cells.)によれば、タンポポのエキスが、動物のみならず、ヒトの細胞においても、B型肝炎の進行を抑える効果が見られたようです。
⒐ 消化を助ける
便秘や おなかの不調に対する 伝統療法として、タンポポを用いる人は少なくないようです。しかし、その効能や仕組みについては よくわかっていませんでした。ただ、少なくとも 動物における研究結果(The effect of Taraxacum officinale on gastric emptying and smooth muscle motility in Rodents.)では、タンポポには 体内での消化活動を助ける効果があることが分かっています。
⒑ 肌を健康に保つ
タンポポは、太陽光による肌へのダメージを軽減してくれる効果があると主張する科学者もいます。太陽光における紫外線は、肌にダメージを与え、肌の老化を早めることにもつながります。そんな中、タンポポのエキスには、紫外線のダメージから肌を守る効果があるらしいことが分かったそうです。
今回紹介した、タンポポが持つ 10の効能ですが、いづれも まだまだ これからさらなる研究と調査が必要そうですが、タンポポのもつ潜在的な可能性には驚かされます。今後のタンポポの活躍から目が離せません。
タンポポの花言葉です。